脚本での電話シーンとメッセージの書き方
電話、テキストメッセージ、メール、ビデオ通話は、現代の物語のいたるところに登場します。そして新人の脚本家のほぼ全員が、それをどうページに書けばいいのかと悩みます。このガイドでは、多くの映画・テレビ作品と Kashna Script が採用している国際標準(アメリカ式)の脚本書式を扱います。日本の縦書き脚本のように、国によっては独自の書式もあります。電話シーンを書く3つの標準的な方法、テキストメッセージやそのほかの画面の扱い方、そして画面上の文字(テロップ)の書き方を紹介します。どの方法にも、そのまま使える実例が付いています。
2026年9月更新 · 約8分で読めます
1. 適切な方法の選び方
電話シーンの書き方に、唯一の正解はありません。標準的な方法は3つあり、どれを選ぶかは、ひとつの単純な問いで決まります。観客に何を見せ、何を聞かせるべきか?
| 方法 | 観客が受け取るもの | 使う場面 |
|---|---|---|
| 片側だけが聞こえる | 画面に1人、声も1人分 | 電話の相手が重要でない、または謎を残したいとき。 |
| 電話の向こうの声(V.O.) | 画面に1人、声は2人分 | 両方の声を聞かせる必要があるが、1人の人物のそばにとどまりたいとき。 |
| INTERCUT | 画面に2人、声も2人分 | 両方の反応がシーンにとって重要なとき。 |
どれを選んでも、通常の脚本の書式のルールはそのまま適用されます。電話は、技術的なひと工夫が加わったセリフにすぎません。
2. 電話:片側だけが聞こえる
最も簡単な方法です。1人の人物のそばにとどまり、その人物の言葉だけを聞かせます。間(ま)が仕事をしてくれます。残りの半分は読み手が補うのです。
相手が話している箇所は、(beat) や短いト書きで示します。使いすぎないようにしましょう。すべてのセリフに間が必要になるなら、読み手に推測させすぎているので、ほかの2つの方法のどちらかが必要かもしれません。
3. 電話:電話の向こうの声
この方法では、ひとつの場所にとどまりながら、両方の声を聞かせます。姿の見えない電話の相手には、ほかのセリフと同じように、役名に拡張子(エクステンション)を付けます。
このガイドの中で、書き手によってやり方が最も分かれるのがここです。電話の向こうの声には、さまざまな拡張子が使われます。
(V.O.)が最も一般的です。話し手がそのシーンの中にいないからです。(ON PHONE)や(OVER PHONE)も、ひと目でわかるので多くの書き手が使います。(FILTERED)は、機器を通したような声にすべきだと音響チームに伝えます。(O.S.)を使う脚本もありますが、厳密には、物理的に近くにいて姿が見えない人物を意味するため、ほとんどの書き手は電話には使いません。
どれを使っても、それで脚本が不採用になることはありません。大切なのは、読み手がすぐに理解できること、そして脚本全体で同じものを使い続けることです。
4. 電話:INTERCUT(インターカット)
両方の人物を見せる必要があるときは、それぞれの場所に柱を書き、そのあとで2つの場所を行き来することを読み手に伝えます。それ以降は、柱を追加せずに、会話を通常のセリフとして書きます。
INTERCUT - ANNA / LEO、INTERCUT PHONE CALL、あるいは単に INTERCUT など、いくつかのバリエーションはどれも認められています。ト書きの中で We intercut という表現を使う書き手もいます。両方の人物が画面に映っているので、ほとんどの書き手はインターカットの間は (V.O.) を外しますが、声だけが聞こえるセリフには残す書き手もいます。
インターカットを終えるには、新しい柱に移るか、どちらかの人物が電話を切るところを見せます。柱について詳しくは、柱(シーン見出し)のガイドを参照してください。
Kashna Script は、電話シーンのあらゆる要素を入力しながら整えます。柱、役名、拡張子、括弧書きの指示が、メニューを開かなくても正しい位置に収まります。2人が同時に話す場面のためのデュアルダイアログ(同時セリフ)も組み込まれています。先行アクセスに登録する。
5. テキストメッセージ
テキストメッセージは、観客が聞くものではなく読むものなので、通常のセリフとして書くのは適切ではありません。一般的な書き方は3つあります。
ト書きの中に書く
短いメッセージなら最も手早い方法です。メッセージを引用符で囲み、目立つように斜体か大文字にすることもよくあります。
INSERT または ON SCREEN
メッセージがプロットにとって重要なときは、どの読み手にも読み飛ばされないよう、独立した行にします。INSERT は携帯電話の画面を寄りで見せることを意味し、ON SCREEN や ON PHONE も同じように使われます。元のシーンに戻るときは BACK TO SCENE と書きます。
メッセージのやりとりとして書く
メッセージを何往復もやりとりする場合、多くの書き手は、(TEXT) や (TEXTING) といった拡張子を付けたセリフの形式を使うか、ト書きに (ON SCREEN) と書いて、その文字が映像の上に表示されることを示します。
その人物らしいメッセージの打ち方はそのまま残しましょう。小文字、打ち間違い、言葉で説明した絵文字。それが人物像を伝えてくれます。どの方法を選ぶにしても、最初に使うときにわかりやすく示し、一貫して使いましょう。
6. メール、ビデオ通話、そのほかの画面
メール、手紙、書類
これらはテキストメッセージと同じように扱います。観客が読まなければならないものには INSERT を使い、重要な言葉だけを引用します。署名欄まで全部書く必要はありません。
ビデオ通話
両方の場所が重要なら、ビデオ通話はたいていインターカットと同じように書きます。相手が画面の中に映るだけなら、ひとつの場所にとどまり、ト書きで画面の様子を描写します。その声には (ON SCREEN) や (ON LAPTOP) を付ける書き手が多くいます。
テレビ、ラジオ、録音
ニュース番組や留守番電話も同じ考え方です。NEWS ANCHOR (ON TV) のような役名や、録音された声なら MARCUS (V.O.) を使います。音の出どころがはっきりわかる拡張子を選びましょう。
7. 画面上の文字:SUPER とタイトル
物語の世界の中ではなく、観客に向けて映像の上に表示される文字は、SUPER(superimpose の略)で書きます。場所、日付、字幕的な説明などに使います。
| 用語 | 使い方 |
|---|---|
| SUPER: | 映像の上に重ねる文字。最も一般的な選択です。 |
| TITLE CARD: | 文字だけの画面。たいていは黒味の上に出します。 |
| SUBTITLE: | 外国語のセリフの訳。代わりに「(in Spanish, subtitled)」のような注記を加える書き手も多くいます。 |
| CHYRON: | ニュース番組のような、名前や説明のテロップ帯。あまり一般的ではなく、SUPER で済ませる書き手もいます。 |
こうした字幕的な文字に ON SCREEN: を使う書き手もいます。それでも通じますが、物語の中に映る携帯電話やノートパソコンの画面と紛らわしくなることがあるので、両方が1本の脚本に出てくる場合は SUPER のほうが明確です。
8. よくある間違い
- 同じ種類のものに違う方法を混ぜる。ある電話には
(V.O.)、次の電話には(ON PHONE)では、読み手が混乱します。種類ごとにひとつに決めましょう。 - メッセージを、そうと示さずにセリフとして読ませる。人物が実際に声に出して言わないのなら、通常のセリフとして書いてはいけません。
- 電話のセリフ1行ごとに新しい柱を書く。両方の場所を一度ずつ示したら、あとは
INTERCUTです。 BACK TO SCENEを書き忘れる。INSERTのあとにこれがないと、読み手は今どこにいるのかわからなくなります。- 何も起きない長電話。2人が電話で話しているだけでは、画面が止まってしまいます。話している間、少なくともどちらか一方に何か行動をさせましょう。
- ページを画面の文字で埋め尽くす。長いメールやメッセージのやりとりは脚本のテンポを落とします。重要な部分だけを引用して先へ進みましょう。ページ数がなぜ重要なのかは、脚本の長さのガイドを参照してください。
9. よくある質問
脚本で電話のシーンはどう書けばいいですか?
3つの方法のどれかを使います。片側だけを見せる、姿の見えない相手の役名に (V.O.) や (ON PHONE) を付ける、または両方の場所を示してから INTERCUT と書いて2つの場所を行き来する、のいずれかです。
電話の声は V.O. と O.S. のどちらですか?
電話の相手はそのシーンにいないので、ほとんどの書き手は V.O. を使います。O.S. は、物理的に近くにいるが姿が見えない人物に使うものです。(ON PHONE) や (FILTERED) を好む書き手もいます。一貫して使えば、どれでもかまいません。
脚本でスマホのメッセージはどう書けばいいですか?
短いメッセージはト書きの中に引用符で書く、観客が読む必要のあるメッセージには INSERT - PHONE を使う、あるいはやりとりを (TEXT) の拡張子を付けたセリフとして書く、のいずれかです。脚本全体でひとつの方法に統一しましょう。
脚本の INTERCUT とはどういう意味ですか?
INTERCUT は、主に電話の場面で、映像が2つの場所を行き来することを読み手に伝える指示です。両方の柱を一度ずつ書いたら、あとは新しい柱を付けずにセリフを続けます。
脚本の SUPER とはどういう意味ですか?
SUPER は superimpose(重ねる)の略で、地名や日付など、観客に向けて映像の上に表示される文字を示します。
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