脚本の V.O. と O.S. の違い:ボイスオーバーと画面外のセリフの書き方
(V.O.) と (O.S.) は、役名の横に付く小さな記号(エクステンション)で、とても混同しやすいものです。このガイドでは、多くの映画・テレビ作品と Kashna Script が採用している国際標準(アメリカ式)の脚本書式を扱います。日本の縦書き脚本のように、国によっては独自の書式もあります。それぞれが何を意味し、いつ使い、どう書くのかを、ナレーションや心の声から、電話の声、隣の部屋から叫ぶ人物まで、正確に解説します。書き方が分かれる点や、脚本を素人っぽく見せてしまう間違いも紹介します。
2026年9月更新 · 約8分で読めます
1. 違いをひと言で
O.S.(オフスクリーン)は、人物がそのシーンに物理的にいるものの、カメラに映っていないことを意味します。V.O.(ボイスオーバー)は、声の主がそもそもシーンの中に物理的に存在しないことを意味します。語り手、登場人物の心の声、電話や録音の声などです。
見分け方は簡単です。このシーンにいるほかの人物に、その声は部屋の中で聞こえるだろうか?と自問してください。聞こえるなら、そして話し手がフレームの外にいるだけなら O.S. です。声が別の時間や別の場所から来ているなら V.O. です。
| エクステンション | 正式名 | 話し手は… | 主な用途 |
|---|---|---|---|
| (V.O.) | ボイスオーバー | シーンにいない | ナレーション、心の声、電話の声、録音、読み上げられる手紙 |
| (O.S.) | オフスクリーン | その場にいるが見えない | 隣の部屋、ドアの向こう、角の向こうにいる人物 |
| (O.C.) | オフカメラ | その場にいるが見えない | O.S. と同じ意味。一部のテレビ脚本や古い脚本で見られます |
2. エクステンションの書き方
エクステンションは役名と同じ行に、半角スペースを空けて、大文字で、括弧に入れて書きます。役名の一部なので、名前と同じ中央寄りの位置に置かれます。
多くの書き手が守っている書式上のポイントをいくつか挙げます。
- ピリオドは残します。
(VO)や(OS)ではなく、(V.O.)と(O.S.)です。ピリオドを省く人もいますが、標準はピリオド付きの形です。 - 人物のふだんの名前を使います。
NARRATOR SARAHやOLD SARAHではなくSARAH (V.O.)です。ただし、年を重ねた姿が脚本の中で本当に別の人物として扱われている場合は別です。 - エクステンションを役名の下の括弧書きに入れないでください。
(V.O.)は名前の横に置くものです。括弧書きの指示は、セリフの言い方を示すためのものです。 - その下のセリフは、ほかのセリフとまったく同じ書式で書きます。
役名、セリフ、括弧書きの指示をおさらいしたい場合は、脚本の書式ガイドを参照してください。
3. V.O. を使うとき
ナレーション
語り手が映像にかぶせて話します。多くの場合、物語の「現在」の外側から語ります。語り手は作中の登場人物(年を重ねた本人が振り返る形が多い)のこともあれば、画面に一度も登場しない人物のこともあります。
心の声
人物の姿を見ながら、その人が考えていることが聞こえる。これが V.O. です。唇は動かず、その声は観客のためだけに存在します。
電話の声、録音、機器から流れる声
声は聞こえても姿の見えない電話の相手、留守番電話のメッセージ、ラジオ放送、誰かが観ている動画の声。話し手はその部屋にいないので、多くの書き手は V.O. を使います。(ON PHONE)、(FILTERED)、(ON TV)、(ON RADIO) のような、より具体的なエクステンションを好む人もいます。どれも通用しますが、状況ごとにひとつを選び、統一してください。電話にはインターカットを含めた独自の書き方があり、電話シーンとメッセージの書き方で解説しています。
読み上げられる手紙、日記、メッセージ
人物が手紙を読んでいる姿が映り、書いた人の声が聞こえるとき、書いた人のセリフは V.O. です。映像にかぶせて聞こえる日記の文章も同じです。
別の時間から響く声
以前のシーンのセリフが人物の記憶の中でこだまする場合も V.O. です。話し手はいまそこにいないからです。記憶そのものを画面で見せるなら、それは回想シーン(フラッシュバック)になり、その中のセリフはふつうのセリフとして書きます。
Kashna Script は、入力するそばから役名、エクステンション、セリフの書式を整えます。 名前を書いて V.O. や O.S. を加えるだけで、行は正しい大文字と括弧で正しい位置に収まります。メニューを開く必要はありません。先行アクセスに登録する。
4. O.S.(と O.C.)を使うとき
人物が物理的にはシーンの一部なのに、カメラがその人を映していないときに O.S. を使います。ほかの人物にはその声が聞こえ、返事をすることもよくあります。
O.S. の典型的な場面:
- 別の部屋や上の階、閉じたドアの向こうから呼びかける人物。
- フレームに入る前に話し始める人物。たとえば、誰なのかが見える前に戸口から聞こえる声。
- 同じ部屋にいるものの、いまのショットに映っていないだけの人物。スペック脚本ではカメラを演出するわけではないので、ここではエクステンションを省く書き手も多くいます。姿が見えないこと自体に意味があるときだけ使いましょう。
O.C.(オフカメラ)は O.S. と同じ意味です。主に一部のマルチカメラのテレビ脚本や古い脚本で見られます。長編映画のスペック脚本では O.S. が一般的です。どちらを使うにしても、ひとつの脚本で両方を混ぜないでください。
5. 複数のシーンにまたがるナレーション
ナレーションは、映像が切り替わる間も、複数のシーンやシークエンス全体にわたって続くことがよくあります。一般的な書き方は2つあり、どちらも通用します。
方法1:柱ごとにナレーションを区切る
新しい柱とそのト書きを書き、語り手のセリフを新しい (V.O.) の役名の下で続けます。読み手にとっていちばん分かりやすく、最も一般的な方法です。
方法2:シークエンス全体にひとまとまりのナレーション
ひと続きの語りの下で短い映像を重ねる場合、モンタージュやシリーズ・オブ・ショットを使い、その前後にナレーションを置く書き手もいます。Over this, we hear Sarah(これにかぶせてサラの声が聞こえる)のようなト書きを添えることもあります。長い語りをひとまとまりに保てますが、どの映像がどのセリフに対応するのかを読み手が分かるようにしてください。
どちらを選ぶにしても、語り手の名前は最初のページから最後のページまでまったく同じにします。
6. V.O.・O.S. と CONT'D
(CONT'D) は、同じ人物が中断(たいていはト書き)のあとも話し続けていることを示します。役名にすでにエクステンションがある場合は、2つを並べて書きます。エクステンションが先で、そのあとに (CONT'D) です。
ここは書き方が分かれます。最近は、シーン内の (CONT'D) をまったく書かない書き手も多く、ほとんどの脚本ソフトでオン・オフを切り替えられます。大切なのは統一です。ルールが当てはまる箇所すべてで使うか、まったく使わないかのどちらかにしましょう。
人物が O.S. から画面内に移ったら、姿を見せたあとの最初のセリフからエクステンションを外します。マークが浴室に入ってきた時点で、MARK (O.S.) は単に MARK になります。
7. よくある間違い
- ナレーションや心の声に O.S. を使う。 語り手はドアの向こうに隠れているわけではありません。声がシーンの中に物理的に存在しないなら V.O. です。
- 隣の部屋にいる人物に V.O. を使う。 その人はシーンの中にいて、ほかの人物にも声が聞こえるので O.S. です。
- 映像をそのまま説明するナレーション。 まさにその映像にかぶせて「私はキッチンに入り、母が泣いているのを見た」と語っても、読み手には何も新しいことが伝わりません。よいボイスオーバーは、映像にできないものを加えます。皮肉、背景、人物が隠している感情、何年も後からの視点などです。
- ナレーションで筋を説明する。 何が起きているのかを声で説明しなければならないなら、おそらくシーンが役目を果たしていません。ナレーションは応急処置ではなく、意図したスタイルとして使うときに最も生きます。
- エクステンションが統一されていない。 ある電話では
(V.O.)、次の電話では(ON PHONE)、40ページでは(O.C.)、60ページでは(O.S.)。ひとつの方式を決めて守りましょう。 - エクステンションをト書きに書く。 役名に
MARK (O.S.)と書きます。ト書きに「マークが画面の外から言う」とは書きません。
原稿を送る前に、脚本書式チェッカーでざっと確認すれば、役名の不統一を見つけやすくなります。
8. よくある質問
脚本の V.O. と O.S. の違いは何ですか?
O.S.(オフスクリーン)は、隣の部屋にいる人のように、人物がシーンに物理的にいるものの見えないことを意味します。V.O.(ボイスオーバー)は、ナレーション、心の声、電話の声のように、声がそもそもシーンの中にないことを意味します。
ナレーションは V.O. と O.S. のどちらですか?
ナレーションは常に V.O. です。語り手はシーンに物理的に存在しないので、O.S. は誤りです。
脚本の O.C. とはどういう意味ですか?
O.C. はオフカメラ(off-camera)の略で、O.S. と同じ意味です。一部のテレビ脚本や古い脚本で使われており、現在の長編映画の書き手のほとんどは O.S. を使います。
脚本で心の声はどう書けばいいですか?
考えている人物にふつうの役名を立て、名前の横に (V.O.) を付けて、考えをセリフとして書きます。控えめに、映像では見せられない考えにだけ使いましょう。
V.O. と一緒に使うとき、CONT'D はどこに書きますか?
エクステンションのあと、名前と同じ行に書きます。SARAH (V.O.) (CONT'D) となります。最近は CONT'D をまったく書かない書き手も多いですが、いずれにしても統一してください。
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